レストラン業界にも詳しく、オシャレスポットに敏感な友人が、「とっても素敵なカクテルバーができたよ！」と教えてくれた。ポルタジェノヴァ地区の19世紀末に建てられた元保育園の一角に昨年9月にオープンしたばかりのカクテルと音楽で夜遅くまで楽しめる 魚介中心のレストラン、SOGNI。1987年、ミラノにラグジュアリーブランドのセレクトショップをオープンさせ、ラグジュアリーセレクトショップという概念のお店を根付かせた一人であるファッションとナイトライフのアントレプレナーであるクラウディオ・アントニオーリプロデュースによるレストランだ。

セレクトショップでは、選ぶ基準としてさまざまな文化やファッションのスタイルを取り入れたデザイナーのアイディアをとても大切にしているアントニオーリ。そんな彼がプロデュースするレストランだからオシャレでないはずがない。 SOGNIとは夢。ここはおそらくミラノのファッションに敏感な人々が待ちわび長年夢にみた場所と言っても過言ではない。ベルベットのソファでゆったりとくつろぎながらエレガントな雰囲気に合った音楽を聴きながらグラスを傾け友人と過ごす時間。最高だ。

大きなソファでくつろぐことのできるロビー、トラディショナルなものからオリジナルのものまでバラエティに富んだ美味しいカクテル、ノンアルコールカクテルを楽しむことができる亜鉛メッキのクールなバーエリア、そして3つの異なるレストランルームがある。光に照らされた磁器が並ぶ陳列棚に囲まれた長い楕円形のテーブルが特徴的な「食堂」、冬の庭の大きな植物に囲まれて食事ができる「ベランダ」、廊下に小さなテーブルが配置され、フレスコ画の壁がある「ギャラリー」。

白と黒を基調とした化粧室はまるでタイムスリップしたかの如く、ミラノのFAI(Fondo Ambiente Italiano=イタリア環境基金)によって再建されたアルベルゴ・ディウルノ・ヴェネツィアをどことなく彷彿とさせる。しかもここには他のレストランでは経験したことのないようなサプライズがある。複数の香水が置かれていて好みのものを自由に試すことができるのだ。内装は、アントニオーリが長年コラボレートしているデザインスタジオ、ストレージによるもの。歴史的なものに現代的な美学を加え、クールなデザインを提案する。アントニオーリの審美眼とストレージのデザインとのコラボによって生まれたユニークで夢のような空間。

アントニオーリ自身は、ヴェジタリアンだということで、SOGNIのメニューから動物性タンパク質を一切排除することに抵抗はなかったようだが、彼が厨房を任せたランゴステリアで長い経験を経たシェフ、ジャンルカ・クレリチとの話し合いの結果、レストランはペスカタリアンの哲学を取り入れた。アントニオーリは食べることが大好きだそうで、ミラノにある魚介料理のレストランの中でわたしのお気に入りの一つである、トラットリア・デル・ペスカトーレには30年以上も通っているそうだ。

オシャレという一言で片付けてしまうのは勿体無い。暖かく、包み込まれるようなそれでいてカッコよく美しく官能的なSOGNI。まさに夢見心地になれる空間。「人々を笑顔にし、人生をもっと好きになってほしい。」と願うアントニオーリがプロデュースしたSOGNIは、間違いなくミラノの新たな注目スポットとして見逃せない。