今最も旬なミラノの情報をお届けいたします。
July. 2020
日本でも「サスティナブル」「サスティナビリティ」という言葉が身近になった昨今。ミラノは、イタリア国内で最もサスティナビリティに関して積極的に取り組んでいる街だ。
一言でサスティナビリティと言っても、健康と社会に配慮したライフスタイルを構築するために、ゴミをきちんと分別したり(ミラノ市のゴミ分別はとてもしっかりと行われている)、無駄に沢山のゴミを出さない、電気をこまめに消す、自動車を使わないなどなど、様々な観点でのアプローチがある。今回は、コロナウィルスによるロックダウン中そしてロックダウン後に顕著に見られている動きである持続可能なモビリティに関してお話ししたい。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
ロックダウン最中に街の中心地サンバビラから始まるヴェネツィア大通りに続いてブエノスアイレス大通り(写真参照)に一気に自転車専用レーンが作られた。自転車専用レーンには、自転車のみならず、街の至る所でアプリを通じて利用可能な電動キックボードも走っている。
この界隈に住む友人達曰く、ロックダウン中にほとんど自動車の往来が無かった頃は、多くの自転車が行き交い、「ここはアムステルダム?」と錯覚してしまうほどだったようだ。
それまで二車線ずつあった通りが場所によって一車線ずつになったことで、交通量が減ったようにも見受けられるが、歩道の隣に自転車レーン、そして路上駐車スペースが続き、車道となっているため、駐車する車からの乗り降りでの扉の開閉時、走行する自動車と自転車に気をつけないと事故が起こる可能性も多く、今回の自転車レーン設置法に関しては賛否両論があるが、これまでは自転車は車道を車と共に走っていたので、それはそれで危なかった訳だったので、今回のこのミラノ市の行動は、自転車利用者を増やすことによりサスティナブルな街を目指そうという意識を感じる。
ロックダウン直後から店の前に人が溢れているミラノの老舗サイクルショップRossignoli(ロッシニョーリ)。ロックダウンで自粛生活が続いていて思うように外に出られなかったミラネーゼ達が、市内を移動するのに便利な自転車という交通手段に注目したのは、環境省が発したプロジェクト「モビリティボーナス」も手伝ってのことだ。5月4日より12月31日に購入した自転車の60%の額が(最高額500ユーロまで)キャッシュバックになるというもの。すぐに返金される訳ではないので、中には本当に60%の額が戻ってくるのだろうかと懸念する人もいるようだが、このプロジェクトのお陰で自転車の購入者が一気に増えた。今まさにミラノのサイクルショップはブームを迎えており、毎日のようにオーダーを受けており、現在オーダーしたものは10月に手に入るという具合だ。電動自転車もシティ用の普通の自転車も同じように満遍なく売れているそうで、レース用の自転車は今回のロックダウンとは関係なくこれまでと同じように愛好家達に売れているとのこと。
お店からお揃いの自転車をおしながら出てきたカップルに話しかけると、彼はロックダウン前の今年の1月にすでにこちらでロッシニョーリオリジナルの自転車クラシックタイプの一台を購入しており、彼女は今回のモビリティボーナス制度を利用して前日に購入し翌日引き取りに来たとのことだった。「これまでは、ミラノ市運営のレンタサイクルbikeMIやmobikeという自転車シェアリングを利用していたけれど、重いし、故障しているものも沢山あったので、これからは軽くて快適な自転車に乗れると思うととても嬉しいわ!盗まれる可能性はあるけどね。(笑)」
と彼と同じ色の女性用モデルを選んだ彼女が嬉しそうに言っていた。ロッシニョーリには他にもオリジナルバイクであるGaribaldi 71やイタリアの有名なバイクブランドのものがある他、最近Tokyobikeの正規取扱店となったそうで、お洒落な自転車が揃っている。
店の入り口に置かれた店員さんに聞くことなしに自由に使うことができる空気入れ。(写真参照)
店内に限られた人数しか入れないこともあり、沢山のお客さんがいたので外でしばらく待っていたのだが、その間何人もの人が店の前で止まり、自転車に空気を入れていた。今まであまり意識をしていなかったが、店の前にいる間に通った自転車の数の多さにビックリした。昔からあるクラシックなシティバイクの形で素敵な色合いのイタリアの自転車は、私も大好きなのだが、電気自動車でどこにでも行ってしまう習慣から脱して、自転車を利用しようかと改めて思った。ただあまり素敵な自転車だと残念ながら盗まれてしまう可能性大という残念な面も持ち合わせたイタリア。悩むところだ。
最後にご紹介するのは、自転車カフェ、Upcycle cafe Milano。週一で無料自転車修理のサービスを行なっており、また修理の仕方も見せてくれるので、学んで自分で修理することも可能になるとのことだ。自転車で旅をした人が自分の経験を語るイベントや自転車に関する本の出版イベントなどなども定期的に開催されて自転車好きが集まるスペースとなっている。
カフェレストランの奥にはシェアオフィスのスペースもある。コロナの影響で利用客は減ったそうだが、カフェで飲み物を飲みながら仕事をしたり勉強している人もいた。ここでもソーシャルディスタンスが守られていて、まずカフェに入る前に体温チェック。座る席は写真のように隣や向かいに座れないようになっている。カフェのメニューにはイタリア語ではない外国語表記が。「この会社で働く人達は多国籍で、シェフがスウェーデン人なのでスウェーデン料理を中心に提供しているんだよ。自転車が人を繋ぐカフェだけど、国際性を出すことで他の場所と差をつけたくてね。」とフランス人のフロアマネージャー、マチュー君が教えてくれた。朝早くから夜遅くまで営業していて、気が向いた時にいつでも立ち寄ることができる場所だ。自転車で移動するミラノ。歩いたり公共交通機関よりも早く移動できて、運動にもなって、今後ミラネーゼ達のライフスタイルがより健康的で環境に配慮したものになる予感がしている。
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