from MILANO

今最も旬なミラノの情報をお届けいたします。

August. 2020

PALOROSA

暑い夏の午後、ミラノで友人のヴィオラと久々に会う約束をしていた。彼女とコーヒーを飲みながら久々にキャッチアップした後、「この後、行こうと思っているところがあるの。私のお友達のお友達のお店なんだけど一緒に行かない?」と誘われた。どこだろうとワクワクして到着した先は、From MILANO 5月で取り上げたLi-sei deliの並びにあり、オッキさんのところへ行く度に前を通っては、ウィンドー越しに気になっていたショップだった。PALOROSA(パロローザ)は、チェチリア(写真)が2014年に立ち上げたリサイクルプラスチックを使用し、グアテマラの伝統工芸を受け継ぐ職人たちを支援するサスティナブルライフスタイルブランド。まだスタートして6年という若いブランドだが、MOMAのデザインストアを始め、メルシー、コンランショップ、ミナ・ペルホネンやロン・ハーマンなどなど世界各国のオシャレなショップやブティックのデザインコレクションの一部を担い、その他日本の様々なショップでも取り扱われているという注目ブランドだ。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

チェチリアは、イタリア人の父とグアテマラ人の母の元にミラノで生まれ、ミラノで育った。二つのカルチャーの中で育った彼女は、幼い頃からバカンスを母の故郷グアテマラで過ごしていた。自身のブランドを立ち上げる以前に彼女が歩んできた軌跡を語ってくれた。ミラノで建築を勉強し、ニューヨークでプロダクト、インテリア、生地に関する仕事に関わり、その経験を通じて色彩への探究心が高まったそうだ。ランドスケープアーキテクトとしてミラノで有名な建築事務所で働いた後、自分自身のオリジンの一部であるグアテマラのカルチャーを深く知りたいという強い思いを胸に2012年よりグアテマラシティに住み始めた。現地の人々、とくに女性と関わり合いながら、グアテマラで起きていること、そこで生きる人々についてなど写真を通じてブログで発信し始めたチェチリア。そしてグアテマラの伝統工芸の一つであるカラフルな籠、それを作り上げる職人達の技術に惹かれていった。革新的なフォルムと色を使うことで、グアテマラという遠い地において日常生活に使われているアイテムをチェチリアの感性で再解釈し、伝統工芸を受け継ぐ職人達を支援するプロジェクト、PALOROSAが誕生。ブランド名のPALOROSAとは、ピンクがかったグレーの木が特徴の中米に生息する植物(写真:PALOROSAウェブサイトより)で、そのシンプルさと洗練された出で立ちは、素材と色に対するブランドの感性を体現している。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

PALOROSAの商品の原料は、リサイクルプラスチック。(写真:PALOROSAウェブサイトより)ブランドの代表的な商品であるカゴバッグは、濡れても汚れてもサッとふけて、衛生面でも時代にマッチしていてサスティナブルだ。そして、天然繊維。「今年発表したBucketというバケツ型のハンドバッグには、外面に使用されたプラスチックの色とほぼ同色のコットン地の生地を内側に縫い付けることで、その存在があるのに全くもって邪魔にならず一体化していて、籠だけのシンプルさが失われないようにしているの。そして、コットンという天然素材を使うことは、サスティナビリティを重視するブランドとしては大切なことだと思っているわ。」とチェチリア。このようにディテールにもこだわっている。チェチリアは、建築家としてのバックグラウンドを持つことからファッションと建築を共存させ、協調させることを大切にしている。身に着けるバッグやスモールアクセサリーをクリエイトすると同時に家のオブジェとしても使うことができるPALOROSAのプロダクト達。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

グアテマラの地元の職人達(写真:PALOROSAウェブサイトより)と密接にコラボレートしているチェチリア。2016年には、グアテマラシティに自身のアトリエをオープンして、常駐で職人達が仕事をできるようにした。その他にも周辺の田舎や高原地帯にいる職人達のグループとも連携して活動している。現在、コロナウィルスの発症により、グアテマラでもリモートワークせざるを得ない状況なのだそうだが、ほとんどの職人達はこれまでもそれぞれの自宅で仕事をしていたため、移動困難な状態でも引き続き作業を続けることができているのだそう。職人のほとんどは女性だそうだが、中には女性職人の旦那さんが手伝うこともあるのだとか。例えば一つのバッグを完成させるのが一人だけというわけではないそうで、複数の手が入っていても完成品がきっちりと仕上がっていればいいというのがチェチリアのポリシー。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

前代未聞の凄まじい年でありながら、およそ一年かけて誕生した新プロジェクト、カプセルコレクションPALOROSA X ERES (写真:PALOROSAウェブサイトより)を今年夏に発表。フランスの高級水着、ランジェリーブランドであるERESからのオファーでスタートしたというコラボにより生まれたPALOROSAを代表するカゴバッグ。「これまでもMOMAデザインストアの為に既存の形のバッグの色の組み合わせを変えて、MOMAエクスクルーシブバージョンを作る経験をしたけれど、他のブランドのデザイナーと一緒に最初から作り上げるプロジェクトは今回が初めてだったの。とっても良い経験をさせてもらったわ。」とはにかみながら語ってくれたチェチリア。一人でスタートさせて世界に名だたるブランドから声がかかってプロジェクトを手がけるチェチリアに今後の夢は?と聞くと、「そうね、昨年5月にミラノに小さなヘッドクオーター(本社)を構えることができて、今年はオンラインショップもスタートさせたけれど、自分自身のショップをNYにオープンできたら嬉しいわ!こんなご時世で、以前のように自由に動くことができなくなっているけれど、オンラインショップだけではなく、私は人と人の関わりを大切にしたいの。だから物理的なスペースは重要だと思ってる。そして、これまで築き上げてきたことを土台に、現在使っている材料だけにとどまることなく、長持ちする素材を使いたい。あと、流行だけを追う色使いではなく、素材だけでなく長きに渡って使える色を使うことでそういった観点でもサスティナブルでありたいわ。」と彼女の目に確固たる意欲を感じる。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

グアテマラ人としての血が流れているとはいえ、生まれも育ちもミラノであるチェチリアに彼女のミラノのお気に入り、おすすめの場所を聞いてみた。「本社があるここナビリオ地区は大好きなエリアよ。同じ通りにお気に入りの食事処があったのだけれど、残念なことにクローズしちゃったの。でもロックダウン最中にLi-sei deliがオープンしてどんなに助かったことか!お昼にどこでご飯を食べようかと悩むことなく足繁く通ったわ。他のエリアだと、ポルタロマーナ地区にある私の友人のお店DABASSもおすすめ。お料理が美味しいのはもちろんのこと、インテリアのデザインが大好きなのと自分の家にいるかのように寛げるの。あとは、DRYのピザがお気に入り!知る人ぞ知るという場所ではないけれど、フォンダツィオーネ・プラダ(写真)は、大好き。美術館としても好きだけど、ミラノで日常の喧騒から離れてお散歩したりゆっくり過ごすことができるスペースとして大好きな場所なの。」

ミラノは生まれ育った街だけれど、ブランドを立ち上げた当初から常に海外を意識し、目標高く強い意志を持って活動してきたチェチリア。そんな彼女だから注目のショップやブランドからも声がかかったり、次々と素敵な出会いを引き寄せているのかもしれない。話を聞いていて、これからどんなワクワクが彼女を待っているのかと私まで気持ちが高揚した。友人と過ごしたとある午後に偶然起こったチェチリアとの出会い。ヴィオラにも感謝している。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。