from MILANO

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March. 2021

Studio '98

ミラノおよびイタリアのほとんどの地域がまたまたレッドゾーンとなり、厳しいロックダウンが再開、基本的に自宅から出ては行けないという一年前の今ごろに戻ったような状態となった。新型コロナウィルスが流行して一年。この一年間、ステイホームを合言葉にみな自宅にいる時間が増えた。ミラノは毎年4月に開催されるサローネ(国際家具見本市)でもとても有名だが、家のインテリアにこだわるミラネーゼももちろん少なくない。コロナ禍におけるミラネーゼの住環境事情や住環境におけるサスティナビリティに関することなどを内装、リフォームを専門とする建築家そして数多くの新聞や雑誌上で活躍するジャーナリストとしての顔も持つClara Bona女史(写真参照)にインタビューをした。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

5 VIE地区にあるStudio ‘98という建築事務所を運営するクララは、21歳の若さでミラノ工科大学の建築学科を卒業し、更に広告グラフィックの勉強をし、すぐにインテリア業界で働き始めた。並行して学生の頃から文学にも興味があり、書くことが好きだった彼女は、フリーランスのコラボレーターとしてとある全国紙にミラノに関する情報記事を書き始めたという。2年後、ジャーナリストとして正式に登録し、現在も名だたる新聞や雑誌に寄稿し、活動している。「建築家とジャーナリストの仕事は、常に同時に進めていて、自分自身を表現するのにどちらも欠かせないの。そしてジャーナリストとして集めた情報によってリフォームに関するアイディアの引き出しがより増えるというように、一つの仕事がもう一つの仕事にも役立つのよ。」とクララ。住環境に関するサスティナブルな面を問うと、上記の写真(撮影:Giulio Oriani)を見せて、「この部屋は、すべてのものがほぼリサイクル。捨てられてもおかしくないソファやアームチェアも生地の張替えなどを行うことで新鮮になる。ミラノの家には代々受け継がれる家具なども多いけれど、新しいランプを加えたり、新旧のモノを上手く組み合わせることで味のある空間が生まれるの。古いものを簡単に捨てずにリノベートするのもサスティナブルである為に欠かせないと思っているわ。」

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

「サスティナビリティは、全世界でのテーマよね。ミラノでも特に新しい建物を建てる時には、外せない重要なテーマになっている。内装の分野においても、私は、再利用できるものは積極的に使い、そしてなるべく自然素材やサスティナブルな素材を選ぶように心がけているわ。小さなことでもそれぞれが気を配って取り組むことが重要だと思っているから。」ミラノらしいテイストの家というものはどういうものなのかを聞いたところ、彼女曰く、多くは写真(自身のインスタ @clara_bonaより転載)のような古くからあるブルジョアの素敵な家に特徴が見られるという。珍しい一品物の調度品に溢れ、家族代々に受け継がれる家具と現代アートがいたって自然に調和する空間。置かれた花瓶やお皿のテイストからも分かるように決して誇示することなく、品があり、とはいえ気取っていないのがミラネーゼテイストだと言う。また、近年、家のリフォームをするミラネーゼ達が増えてきていたようだが、コロナ禍において自宅にいる時間が長くなったことでリフォームをする人達が急激に増えたと言う。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

テレワークをすることで、自宅において仕事に集中できるスペースを作ることはもちろんのこと、特に日中過ごす空間、リビングやダイニングルームを拡張してより快適に過ごしやすい空間にリフォームすることを希望する人が沢山いると言う。具体的には、大掛かりな工事ではなく、壁の色を変えてみたり(写真はその一例。撮影:Giulio Oriani)、ソファーの生地を張り替えたり、既にあるものに工夫を凝らして変容させるどちらかというとリスタイリングと呼ばれるものだそうだ。コロナウィルス流行以前は、技術的なリフォームの方が圧倒的に多かったようだが、老若男女を通じて、多くの人がスタイルという観点に着目して、リスタイリングに興味を持つようになった。コロナ禍において、クララ自身の仕事のスタイルとしてインテリアに関するオンラインカウンセリングの仕事も加わったそうだ。実際に会うことが難しいお客様とオンライン上で繋がり、お客様が送ってきた家の写真やビデオを元に、家具やランプの配置換え、また新しい家具やランプ選びなどアドバイスをするのだそうだ。また、定期的に寄稿しているインテリア雑誌や自身のインスタの投稿からも彼女が提案するアイディアなどちょっとしたヒントを得ることができる。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

メタリックゴールドのヘルメットを被り、後ろの籠に愛犬ルルを乗せて颯爽とバイクでミラノの街を移動する生粋ミラネーゼのクララにオススメスポットを聞いてみた。何と言ってもお気に入りのエリアは、事務所がある5 VIE地区。沢山のお店やバールそして美術館があり、細い路地に隠れた中庭は息をのむ美しさ。写真(自身のインスタより転載)は、彼女が内装リフォームを手がけたという、ミラノで100年以上続く老舗ジュエリーショップGioielleria CHIARAVALLI。隠れた場所にあって、おそらく観光客には知られていないけれど、ミラネーゼ達の間では知らない人はいないという場所。事務所の下には、ファッショニスタ御用達の店Wait&See(From Milano 2017年2月参照)、その先には、オシャレな雑貨屋Funky Table。とっても美味しいパニーノが食べられるBCafè。カーペット専門店のAlberto Levi Gallery。Piazza Risorgimento近辺も大好きなエリア。ランチやディナーでよく行くとってもフレンドリーなBBQ。ケーキ屋さんSissi。Miki ThumbやPASì MILANO(From Milano 2018年2月参照)のようなチェーン店ではない小さく可愛らしいミラネーゼ御用達ブティックそして木曜日の朝のメルカート(市場)はマスト! さすがジャーナリストとしてのキャリアをミラノに出来た新しいお店などを紹介することから始めただけあって、素敵な場所を沢山知っているクララだ。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。

また、インテリアに精通したクララお勧めのスポットは、家具を取り扱うギャラリーのように美しいNilfar Depot(写真:Nilfar Galleryのインスタより転載)。ミラノ市のはずれにあるが、素晴らしい体験ができるそうで、一度は訪れるべき場所だそうだ。その他にも現代アートに関して言えば、おなじみのプラダ財団のアート複合施設、そしてMassimo de Carlo galleryは、From MILANO 2019年3月で紹介した邸宅ギャラリーのみならず、スカラ座にほど近いPiazza Belgioisoにある小さいがとても素敵なスペースも是非訪れて欲しいと言っていた。クララが運営するStudio ‘98のモットーは、『住む人々の魂を反映する家を作り上げること』だそうなのだが、クララ自身、30年以上この仕事を続けてきたが常に心が躍ると言う。プロジェクトからアイディアが生まれ、現場で立会い、自分の目の前で現実化するという工程に毎回ワクワクするのだそう。「お客様の希望に寄り添った家作りで、関わる人達の間に化学反応が起こって、調和に満ちた仕事ができることはとても素晴らしいし、お客様の好みが私のスタイルと一致するときはもう最高!」発信しているインスタの投稿からも垣間見ることができるが、大好きなことを仕事にしているとエネルギーに満ちてワクワクの毎日を過ごすことができるのだと彼女を見ていて感じた。

Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)

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通訳/クリエイター

大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。