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August. 2022
コロナの様々な規制から解放され、イタリア人が元気を取り戻している今年の夏。海や山、湖と自然の中で心身共にリラックスするミラネーゼ達。今月のFrom MILANOでは、ミラノで活躍する日本人女性の一人であり、ミラネーゼ歴27年である方をご紹介したい。海や樹木、花など自然を題材に、はたまた宇宙をテーマにしたジュエリーを生み出すOvo_vivi Jewelsのデザイナー加藤江美さん。写真のブローチは、Flying birds above the ocean。唯一無二の作品である。常に自由に自然に任せて漠然と制作をスタートさせるのが自分のスタイルだという江美さん、製作し始めた頃は、人工衛星に見えたものが、自然に任せて作っているうちに渡り鳥達が海の上で休憩しているようなものになったというブローチは、海の側で育った江美さんが製作過程で懐かしい故郷の海を思い出し、大好きな海をテーマにしてチタン素材を使った作品のひとつ。10月のミラノジュエリーウィークに出展予定だ。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
2018年よりイタリアで個人事業主となって活動している江美さんだが、約15年ミラノのイゾラ地区にあるアトリエ兼ジュエリーショップでクリエイターグループの一人として培った経験がいまの彼女を作っていると言う。彼女のマエストロ(ジュエリーの師匠)もイゾラで活動していて、陶器、ガラスなどのあらゆる分野のアーティストがいるこの地域はクリエイター達にとってお互いに刺激しあえる環境であり、ショップでは他のクリエイター達と共同でコレクションを製作していたそうだ。こちらのショップでは、福祉やサスティナビリティにも力を入れていて障害を持った方がクリエイターの中にもいて、共にアイディアを出しあってさまざまなプロジェクトを生み出したり、環境に優しいものやリサイクルものを使うことを重要視していた。
切り取られたメタルのかけらを捨てずに、そのものの形からアイディアが生まれて新しいものを作ったり、シルバーも余ったものを溶かして板にして再利用したりという具合だ。マエストロの教えもまさにそうだった。中には祖父母が所有していたゴールドを溶かして自分達の結婚指輪を作るというプロジェクトもあったそうだ。こうした経験は、いまでも江美さんの活動に引き継がれ、亡き親族のジュエリーをリメイクするという仕事にも生きている。このサスティナブルなオーダーは最近とても多いのだそうだ。基本は、ブロンズ、真鍮、チタンやシルバーといった素材を中心としたジュエリー製作が主である江美さんだが、お客様のジュエリーのリメイクに関しては、あらゆる素材に対応することができるそう。写真のリング達はリサイクルのシルバー、ブロンズを用いた淡水パールリング。仕上げは、わざと磨かず粗野な感じで。
江美さんのブランドであるovoviviとは、『躍動する卵』という意味。常に進化し続けて何かを生み出すという意味合いを込めて。写真は、第二子妊娠時に胎児をイメージした形がまずペンダント『Ovovivi』という姿で世に現れて、それが照明器具となって2010年のサローネで発表されたもの。江美さんの作品によく使われるチタンだが、(写真1参照)こちらは工業用の素材で、身体の中に入れてもアレルギーがあっても大丈夫な素材だという。彼女のマエストロも使っていたそうだが、なかなか手に入らないのだそう。「軽くてジュエリーにはとても良いのですが、とても硬い素材なので扱いが非常に難しいです。簡単に糸の子で切ることができないし、叩いても丸くならないんです。しかも他のメタルのようにろう付け(溶接)ができない。でも元のシルバーの色がバーナーで炙ると温度によって色が変わって、思わぬ美しい色となるんです。ブルーの色にするには何度も失敗しないとできないというように扱いにくいけれど大好きな素材です。」と江美さん。ジュエリー職人はなかなか使わない、鋳造がゴールドよりも高価なチタン。板はインダストリアルデザイナーから購入して、切断して曲げることでジュエリーにしているそうだ。
江美さんは、これまでも色々なクリエイターやアーティスト達とコラボ活動を行なってきている。写真は、コロナ禍において開催されたグループ展「DANDAN」にて展示販売されたネックレス。画家と陶芸家でありミラノにおける大切な友人達と行ったグループ展。また来月より、イタリアで初めてエシカルダイヤを扱った会社、Gioielleria Belloni エシカルシルバーコレクションのデザインを担当することになっている。コロンビアの鉱山で採れたシルバーを使っているそうだが、コロンビアでの働き手を敬うエシカルシルバー。あらゆる人との関わりを通じてジュエリーデザイナーとしての幅がどんどん広がる。異なる素材を使って作るジュエリーづくりはもちろんのこと、人と人との間に生まれる波動の高いエネルギーがたまらなく好き。
8月のミラノには、ほとんどのミラネーゼがいない。だからこそ人の少ない8月のミラノは静かでいいと言う人もいる。夏休みにミラノに来る人達へオススメの場所を江美さんに伺った。彼女のお気に入りは美術館巡り。暑い時期は、冷房が入った涼しい場所がいい。中でも彼女のお気に入りは、昨年ハイブランドファッション街であるモンテナポレオーネ地区にオープンしたBuilding gallery というコンテンポラリーアートギャラリー。まだ知る人ぞ知る場所でいつ訪れても空いているのだそうだ。しかも入場料無料。「心地良く一人でぷらっと立ち寄れる空間で、建物も素敵なんです。」美術館やギャラリーでアート作品に触れて、感性が磨かれインスピレーションも湧くという江美さんのジュエリー作品は、日本でも東京青山のPLAIN PEOPLEにて毎年クリスマス時期に行われる展示販売で手に取ることができるそうなので、彼女のインスタ@ovovivimiを要チェック。
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