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June. 2026
初夏のとある木曜日の夕刻。日も長くなって、まだ暑すぎず微風が心地よい。週末を目前にひかえ、バールのテラス席は活気が溢れる。
最近綺麗に舗装された小さな広場にあるわたしのミラノのお気に入りカフェバールのひとつPASTICCERIA CUCCHIでは、7月15日まで期間限定で、ラグジュアリーファッションブランドMARNIとのコラボレーションを開催している。通常クラシックな雰囲気のカフェバールが、MARNI特有の大胆で個性的なモチーフである水玉模様、ストライプ、コントラストの効いた色彩を取り入れているので一際目を引くのだが、そこに違和感は全くもってなく、洗練さとポップな組み合わせがむしろおしゃれな空間を作り出している。
Chikako Gowa(Instagram / chikakogowa)
通訳/クリエイター
大学在学中NYへ交換留学期間、フェアチャイルドパブリケーション広告部にて インターンシップ、パーソンズスクールにてファッション分析について学ぶ。 卒業後、某仏外資系企業に就職。結婚を機にイタリアへ移住。アパレル業界の通訳、2012年よりsen (www.sen-factory.it)のファウンダー兼クリエイターとして活動。彩り豊かな毎日を楽しむ三人の女の子のママ。
1936年、質素で仕事熱心な真面目なミラネーゼ達の素朴な憩いの場として「コンサートカフェ」として誕生したCUCCHIは、戦後の連合国による爆撃の灰の中から再生し、洗練されたパスティッチェリーア(パティスリー)へと変貌を遂げた後も、その遠い起源の痕跡を自らのDNAに刻み続けてきた。1960年代から70年代にかけては、教養豊かで進歩的な中産階級の社交の場となり、1990年代に次々と現れた新進気鋭の店が台頭する中、その流れを静かに見守ってきたCUCCHIは、今日では常連客や通りがかりの外国人観光客だけでなく、才能あふれる若いクリエイターたちにとっても欠かせない存在となっている。
CUCCHIが皆に愛される理由は、おそらく1954年当時の内装から、丁寧な接客、そして食材の品質に至るまで、創業当時の趣を一切変えていないことにあるのだろう。
CUCCHIに来ると、外席が気持ちの良い季節以外でもわたしは決まって外のテーブル席に座るのだが、どこかパリのカフェを彷彿とさせる中にイタリアならではの風情を感じるのがイタリアとフランスの良いところどりを好むわたしにはたまらない。お洒落な若者達から年配の方までが集い、いまの季節は、夏の訪れに皆の顔がウキウキしている。毎週木曜日の夜18時からは、DJによるライブ音楽が流れ、活気に満ちた雰囲気をさらに盛り上げていた。
MARTINI監修のシグネチャーカクテル、「アメリカーノ」と「マルティーニ・スプリッツ」を注文すると、三段トレイにのせられたこれまたこじゃれたおつまみが運ばれてきた。小さな塩味のシュクレ、チーズのタルトレット、ミニビスケットなどなど。
さすがCUCCHI、洗練されたパスティッチェーレ(パティシエ)の技が光っていることがすぐにわかる。BGMが流れる中、アペリティーボのひとときを存分に楽しんだ。
MARNIとのコラボレーションにより、コーヒーカップ、カプチーノカップ、ソーサー、トランプなど一連の製品も誕生し、これらは店頭ですべて販売されている。
そしてウェイターたちもMARNIらしいスタイルを身にまとっており、その制服はカラフルで
ポップな中にエレガンスを感じる。
ミラノに息づく二つの魂、二つの卓越した存在が出会い、ミラノが兼ね備える控えめなエレガンスと活気あふれる創造性という共通のルーツによって結ばれ、街と創造的なコミュニティのための新たな出会いの場を作り出した MARNI x CUCCHIは、時代を超えたディテール、色彩、そして佇まいを通じて、日々のコーヒータイムという習慣が、新しく生き生きとした、そして予想外の体験へと生まれ変わる、まさに守り継がれた伝統と現代の絶妙な調和を体現したコラボレーションだ。
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